活躍育成馬が日高に帰ってきました(日高)

新年あけましておめでとうございます。昨年に引き続き、本年もJRA育成馬日誌をよろしくお願いいたします。

 2005年にJRAがブリーズアップセールをスタートさせてから、8年が経過しましたが、この度記録に残る、そして記憶に残るセール出身活躍馬の2頭が相次いで、日高に凱旋しましたのでお知らせいたします。

 まず1頭目セイウンワンダー(父グラスワンダー)です。同馬は2008年のJRA賞最優秀2歳牡馬で、朝日杯フューチュリティS(GⅠ)など重賞3勝を挙げました。以前抽選馬と呼ばれた時代も含め、JRA育成馬の長い歴史の中で牡馬のGⅠ勝馬はこの馬だけです。また同馬は第4回セールの最高価格取引馬(2,730万円)です。第1回の取引馬でフィリーズレビュー(GⅡ)など重賞2勝を挙げたダイワパッション(3,045万円で落札、父フォーティナイナー)に続き、その年の最高価格取引馬が活躍したことで、ブリーズアップセールの信頼度を一気に上昇させた功労馬です。

 写真1.2009年の皐月賞セイウンワンダーは僅差の3着(左端)。この年の牡馬クラシック3冠路線で、3着以内に2度食い込んだのは、唯一この馬だけでした(菊花賞も3着)。

 もう1頭はJRAホームブレッドとして、史上初の勝利を収めたマロンクン(父デビッドジュニア)です。「JRAホームブレッド(JRA Homebred)」とは、JRA育成馬のうち、JRA自らが生産したサラブレッドの名称で、当場にて生産・育成されました。同馬は第7回のセールにはじめて上場されたホームブレッド初年度産駒の1頭です。セイウンワンダー号とは対照的に、セール翌日の“ファイナルステージ”(セール当日落札されなかった上場馬を、早期に購買いただく取組み)で売却された馬の初勝利ともなりました。

 写真2.2011年の2歳新馬戦(11/5東京・芝1,400m)、マロンクンはあと2完歩というところまで粘り2着。次走でJRAホームブレッド初勝利の快挙を達成しました。

 JRAでは、わが国の生産育成分野のレベルアップに資することを目的として、これらの馬を活用し、「母馬のお腹の中から競走馬までの一貫した調査研究や技術開発」を行い、その成果の普及・啓発に取り組んでいます。JRA育成馬達がこうした活躍をしてくれることが、私達の行う生産育成業務への関心が高まり、ひいては成果の普及につながるものと考えています。

 なお、JRAホームブレッドやその母馬を用いた生産育成業務の成果については、JRAホームページ内のJRA育成馬サイト「JRA育成馬を用いた生産育成研究業務」で詳細を紹介しております。

 写真3.10/8に日高育成牧場に凱旋したセイウンワンダーは、現在、障害馬術競技馬になることを目標に日々訓練に励んでいます。競走馬時代のイメージとはかけ離れた穏やかな表情を見せます。

 写真4.10/29に生まれ故郷の日高育成牧場に帰郷したマロンクン。現在、セイウンワンダーに負けないように障害馬術競技馬になる訓練を実施しています。

 漆黒の青毛セイウンワンダーに対し、その名のとおり栗毛が美しいマロンクン、好対照な毛色のこの2頭が、乗馬としてどのような活躍をしてくれるのか楽しみです。