BTC利用者との意見交換会(日高)

●騎馬参拝

 日高育成牧場では、新年恒例の西舎神社での騎馬参拝で2014年の幕が上がりました。105年目となる本年は、午(うま)年ということもあり、例年よりも多い200人の参拝客でにぎわいました。浦河町乗馬クラブの会員やポニー少年団の子供たち、さらには参拝客全員で本年の人馬の安全を祈念しました。

Photo_3

新年恒例の騎馬参拝で人馬の安全を祈念しました。

 ●厳冬期に突入

 前号では、昨年11月下旬から12月上旬にかけては、例年より寒さを感じさせる朝は少ないとお伝えしました。そして、それ以降も降雪は少なく、近年では珍しく積雪のないクリスマスを迎えました。しかし、冬は必ずやってくるもので、正月三が日で一面銀世界に景色が変わり、厳冬期に突入しました。さらに、小寒から大寒にかけての寒波では、通勤途中の車の外気温計がマイナス20℃を記録することもありました。

 日高育成牧場をはじめとする北海道の育成場の多くは、厳冬期の積雪や寒さに対応するため、屋内調教施設を所有しています。それによって、厳冬期においても馬の調教が可能となっています。それにもかかわらず、年に数回は、屋内馬場での調教後に行っている屋外でのクーリングダウンを終えた育成馬の“口ひげが凍る”という状況に見舞われることもあります。

20_2

車の外気温計がマイナス20℃を記録した日には、屋外でのクーリングダウンを終えた後に “口ひげ”が凍っていました。

●BTC育成調教技術者養成研修生

 本年も小寒の頃の恒例行事となっているBTC育成調教技術者養成研修生の騎乗実習が1月8日から始まりました。本年の研修生は21名で、4月14日(月)に予定されている育成馬展示会までの約3ヶ月間、7名ずつの3班に分かれ、1週間交代でJRA育成馬を活用した騎乗実習を行います。

 騎乗実習開始時には初めて騎乗する若馬の動きに対応しきれないことも少なくありませんが、実習が進むにつれて著しい成長を成し遂げる姿を見守ることは、育成馬の成長と同様に我々の楽しみになっています。将来、研修生たちが育成牧場の最前線で仕事をする際に、この騎乗実習で得た経験が役立ったと思えるようにサポートしたいと思っております。

Btc_3

BTC研修生(2および4番目の騎乗者がBTC研修生)の騎乗実習が始まりました。先頭からニシノボナリーの12(牡 父:バゴ)、ビービーシグナスの12(牡 父:ヴァーミリアン)、サニーハシレの12(牡 父:チーフベアハート)、メジロボンベイの12(牡 父:キャプテンスティーヴ)、アガーテの12(牡 父:エンパイアメーカー)。

 ●育成馬の近況

 JRA育成馬の調教は徐々に本格化してきました。1群の牡馬および2群の牝馬は、800m屋内トラックでの2400m(1周+2周、ハロン22秒まで)のキャンターをベースに、週2回は800m屋内トラックで2周キャンター(ハロン22秒)を実施した後に坂路調教(1本、ハロン20秒)を実施しています。また、週1回は800m屋内トラックでの3200m(2周+2周、ハロン22秒まで)のキャンターを実施しています。

 

13-14JRA育成馬 ブログ用調教動画 
YouTube: 13-14JRA育成馬 ブログ用調教動画

 この時期の調教は800屋内トラックでの一列縦隊、および2列あるいは3列の隊列でのキャンターがベースとなります。①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)走行させることを主眼としています。つまり、隊列の中で馬が落ち着き、騎乗者の扶助に応じるように調教を進めています。

●BTC利用者との意見交換会

 最後に、昨年12月に行われました「BTC利用者との意見交換会」について触れさせていただきます。今回は「初期教育の重要性 ~競走馬として能力を発揮するには~」というテーマに基づき、当場から「JRA日高育成牧場の騎乗馴致」および「馬の本能・心理を理解した取扱いとその調教」と題した話題を提供した後、BTC利用者の中から代表とし参加していただきました3名のパネリストの方々を中心に意見交換が行われました。

 経験豊富なパネリストの皆様は、それぞれの経験および方針を基に意見を述べられていました。それらは、今後の育成調教への参考になる意見が多く、非常に多くのことを学ぶことができました。毎年のことながら、このような意見交換の場がなければ、なかなか率直な意見を聞くことのできないため、このような機会は、技術向上を図る上で非常に有益であると感じられました。3名のパネリストの方々、および参加していただいた方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

Btc_5

「初期調教の重要性」というテーマに基づき開催された「BTC利用者との意見交換会