ベストターンドアウト賞(日高)

アイスバーン

 前号では、小寒から大寒にかけての寒波での気温の低下について触れましたが、節分までの期間は、一転して寒さが和らぎ、1月下旬にしては珍しく雨が降りました。しかし、立春を過ぎてからは、最低気温がマイナス10℃を下回る日も少なくありませんでした。

 寒さが和らいだ翌日に真冬日を迎えると、日中に雪が解けた道路が夜中に凍り、路面がアイスバーン状態となってしまいます。北海道では、このアイスバーンとの戦いが3月まで続きます。車の運転時には、ブレーキを少し掛けるだけでスリップします。自分の車が滑らなくても、対向車がスリップして事故となるケースも少なくないため、常に最新の注意が不可欠となります。春が待ち遠しい今日この頃です。

 

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日高育成牧場構内のスケートリンクと化したアイスバーン状態の道路。

●育成馬の近況

 JRA育成馬の調教は、2月に入り徐々に本格化してきました。12月までは騎乗馴致を開始した順番に1~3群という3つのグループに分け、それぞれのグループに分かれて調教を実施していましたが、1月からは基本的にすべての馬に対して同様の調教を実施しています。また、1週間の調教の流れを下表のようにパターン化することによって、馬への“オン”と“オフ”の区別の理解を促し、肉体的な疲労の回復のみならず、メンタル面のケアも心掛けています。

1週間の調教の流れ→1314.xlsxをダウンロード

 

 

13 14育成馬日誌⑤動画 
YouTube: 13 14育成馬日誌⑤動画

2月1週目の調教動画。角馬場における速歩での準備運動、800m屋内トラックで1列縦隊での2周の駆歩、そして屋内1,000m坂路コースでの調教を実施しています。

 

●育成馬検査

 1月下旬には、育成馬検査が実施されました。育成馬検査とは、JRA生産育成対策室の職員が日高育成牧場で繋養している育成馬を第三者の視点から、市場での購買時からの馬体の成長具合、現在の調教進度、馬の取り扱いなどをチェックし、ブリーズアップセール上場に向けての中間確認を行う検査のことです。日高育成牧場では、この検査に備えて、日頃にも増して馬の手入れに時間をかけ、タテガミや尾などの長毛のトリミングにも取り組んできました。

 検査は2日間かけて行われました。初日こそ晴天に恵まれましたが、2日目は雪が舞う中の検査となりました。「馬を見ていただく」という緊張感のなか、育成馬の調教供覧、展示および馬体検査は終了しました。今回の検査を終え、日常的に接する中では見落としていた指摘を受け、個々の馬の発育および調教進度状況を再認識することができました。

 

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2日間かけて実施された育成馬検査の様子。検査時には展示の仕方が優れた者に贈られる“ベストハンドラ―賞”の審査も同時に行われました。

●ベストターンドアウト賞

昨年の日本ダービーでは、パドックで最も美しく手入れされた馬を担当する厩務員に贈られる「ベストターンドアウト賞」の審査が日本で初めて実施されました。この「ベストターンドアウト賞」は「馬がよく躾けられ、美しく手入れされ、かつ人馬の一体感を感じさせる引き馬(リード)が行われている」人馬に贈られる賞です。

例年、育成馬検査と同時に「ベストターンドアウト賞」の審査も行われています。今回も馬体検査および騎乗時に、最も美しく管理・手入れされていると同時に躾が行き届いている馬および担当者に贈られる“ベストターンドアウト賞”と査時の展示の仕方が優れた者に贈られる“ベストハンドラー賞”が選ばれました。

 

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“ベストターンドアウト賞(展示部門)”の審査で最優秀馬に選ばれたメジロボンベイの12(写真左 牡 父:キャプテンスティーヴ)とゴールドデイの12(写真右 牝 父:マンハッタンカフェ)。

 

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“ベストターンドアウト賞(騎乗部門)”の審査で最優秀馬に選ばれたクロノグラフの12(写真左 牡 父:ブライアンズタイム)とバヒラーの12(写真右 牝 父:ディープスカイ)。

育成馬検査を通して、4月29日(火)に開催されるブリーズアップセールおよび4月14日(月)に開催される育成馬展示会のためのみならず、馬主、調教師、牧場関係者などのお客様の来場に備えて、馬を展示し、見て頂くという姿勢を再確認する機会にもなりました。浦河にお越しの際は、お気軽にご来場いただき、JRA育成馬をご覧いただきたいと思っております