2014年1歳セリ市場の開幕

2014年度ブリーズアップセール売却馬の成績

本年売却したJRA育成馬達は6月上旬から開始されたメイクデビューに続々と出走しています。本年売却したJRA育成馬は、7月28日現在、3頭が勝ち上がり、そのうち1頭(写真1)がメイクデビュー勝ちとなっています。夏競馬真っ盛りのなか、さらに頑張ってほしいと願っています。Photo_3写真1. 3回阪神競馬2日目第5Rメイクデビュー(芝:1400m)に優勝した

         ノーブルルージュ号(栗東:宮本厩舎)

 

1歳セリでの購買

さて、ここからは本年度の1歳セリについて触れてみたいと思います。来年度のブリーズアップセールに上場するJRA育成馬の購買が7月からスタートしています。JRAが1歳セリで購買する馬は、育成研究、技術開発および人材養成を実施するうえで、育成期間に順調に調教できることが必要となります。そのため、購買に際しては、発育の状態が良好であり、大きな損徴や疾病がなく、アスリートとして適切な資質の馬を選別するようにしています。

1歳セリにおけるJRA育成馬の購買検査は、複数名で実施しています。その中には、競走馬の臨床経験が豊富な獣医・装蹄職員が含まれており、お互いに意見交換を行いながら候補馬を選定します。検査では、まず外貌を観察します。その後、馬の動きを観察するために、常歩での歩様を前望や後望から確認します。そして、セリ会場においてすべての馬を検査した後、候補馬のレポジトリーを確認して購買に至ります。

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写真2.獣医・装蹄職員を含めた複数名によるセレクトセール会場での

          馬体検査の様子

 

1歳セリに上場されるすべての1歳馬が、JRA育成馬の候補馬となります。1歳セリの中でも、8月下旬に開催されるHBAサマーセールは、4日間で1100頭以上、1日あたり275頭程度が上場される国内最大規模のセリであるため、セリ当日には検査を実施する時間が十分取れないことが予想されます。そのため、セリに多頭数を上場する「コンサイナー」と呼ばれる専門業者に預けられた馬を中心に、事前に検査を実施して、セリ当日に備えます。この事前検査は、上場馬の半分程度の約600頭に対して実施しています。

 

セレクトセール1歳セリ

本年、他の1歳セリに先駆けて開催されたのは、今や日本一のセリにとどまらず、世界でも有数のセリとして知られている「JRHAセレクトセール」でした。北海道の苫小牧市の「ノーザンホースパーク」において、7月14日(月)に行われたセリには、255頭が上場され、そのうち215頭が売却されました(売却率は84.3%)。

JRAはアドマイヤムーン産駒の1歳牡馬を購買し、この馬が本年度のJRA育成馬の第1号馬となりました。

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写真3.セレクトセールで購買したアドバンスクラーレの13(父:アドマイヤムーン

 

セレクションセール1歳セリ

セレクトセールの1週間後の7月22日(火)には、北海道静内町で「HBAセレクションセール」が行われました。本年のセレクションセールは、8頭が欠場したため、248頭が上場され、そのうち154頭が売却されました(売却率は62.1%)。JRAは1歳馬9頭(牡:7頭、牝:2頭)を購買しました。

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写真4.セレクションセールで購買したホーマンソレイユの13(父:エンパイアメーカー

 

1歳セリは今後、7月末には「九州1歳市場」、8月上旬には「八戸1歳市場」が開催されます。そして、8月下旬には「HBAサマーセール」が開催され、9月上旬には、宮崎育成牧場の育成馬が全頭入厩し、騎乗馴致を開始する予定です。次回の宮崎からのブログでは、育成馬の入厩の様子をお知らせしたいと思います。