育成馬ブログ 宮崎⑥

○育成馬調教見学会の開催(宮崎)

宮崎での初春の風物詩となっているプロ野球球団のキャンプが、本年も2月からスタートしています。本年は、恒例となっているソフトバンク、巨人(宮崎市)、広島、西武(日南市)に加え、新たにオリックス宮崎市清武町にキャンプインしており、活気づいています。宮崎がキャンプ地として選ばれる理由は、「気候の温暖さ」という点では沖縄には及びませんが、この時期の宮崎は「晴天率が高い」という点であるといわれています。

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写真① 宮崎サンマリンスタジアムでの巨人軍キャンプを視察に来た松井秀喜氏。

この理由のとおり、2月に入ってからは晴天の日が多いのを実感しながら、4月のブリーズアップセールに向けて育成馬の調教を実施している今日この頃です。

 

育成馬の近況

さて、宮崎育成牧場のJRA育成馬22頭の近況をお伝えいたします。宮崎育成牧場は、屋内坂路など多種多様なBTC調教施設を利用できる日高とは異なり、500mおよび1600mトラックダート馬場のみを使用しての調教となります。同じ環境で調教をできるということは、馬のメンタル面を安定させるためには大きなメリットとなる一方で、調教内容が単調になりやすいというデメリットも見え隠れします。

 

 

動画 2月初旬の1群牡の調教動画。

 

500mトラック馬場では、ウォーミングアップとして、同じ環境で同じ調教を実施することによるメリットであるメンタル面の安定を主眼に置いて、速歩2周の後、直線でのキャンター、コーナーでの速歩という調教を左右2周ずつ実施しています。これにより、競走馬の礎となる①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)走行させることが達成されます。

一方、1600m馬場では、3月からのスピード調教に向けて、現在は基礎体力養成を主眼に調教を実施しています。4~5頭単位の1列縦隊でハロン22~20秒のイーブンペースでの2400mのステディキャンターを基本調教としています。週1回は群れを意識して馬群の中で落ち着くことと、および1600m馬場の利点を生かした長距離を一定ペースで走行することによって持久力を向上させることを目的として3000mのステディキャンターを実施しています。

また、週1回実施している強調教時には、1000mを2本走行させるインターバルトレーニングのスタイルを行うことによって、馬自らが“オン”の日であることを理解するように工夫しています。1本目は4~5頭単位の1列縦隊でハロン22~20秒でのステディキャンターを実施し、2本目は4頭単位の2列縦隊で3ハロンを54~51秒、つまりハロン18~17秒ペースでの強調教を実施しています。

 

 

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写真② 週1回実施している強調教時の様子。左:クリスタルストーンの13(牡父ゴールドアリュール)、右:スマートウェーブの13(牡 父メイショウボーラー

このように1600m馬場では、調教内容が単調になりやすいデメリットを解消するために、1週間の調教の流れをパターン化して、馬が“オン”と“オフ”の切り替えを自らできるように工夫する試みを行っています。

 

育成馬調教見学会

ここからは、2月7日に開催いたしました「育成馬調教見学会」についてご紹介いたします。この見学会は、地元の一般来場者の方々が、育成馬の疾走する姿を間近で見ることができるイベントです。毎年10月と3月に開催している立ち馬展示をご覧いただく、「育成馬見学会」とともに、宮崎の地で成長していく育成馬の姿を間近で見て、少しでも身近に感じていただくことを趣旨に実施しています。

当日は晴天にも恵まれ、40名を越えるお客様にご来場いただきました。来場いただいたお客様には、少し高台からブリーズアップセール上場予定馬が疾走する蹄音や馬の息遣いを間近で感じていただきました。

 

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写真③ 育成馬調教見学会は晴天にも恵まれ、40名を超えるお客様にお集まりいただきました。

参加していただきました方々には、この紙面をお借りして、改めてお礼申し上げます。なお、3月21日(祝・土)には「育成馬見学会」を開催する予定です。「サポータズクラブ」にご登録いただいている皆様には、3月上旬にご案内をお送りいたします。皆様のご来場をお待ちしております。