2019-03-19 育成馬ブログ 生産編①(その1) 競馬場 ※今回から本年度のJRA育成馬日誌の連載が スタートとなりますが、今回の記事は5月31日掲載 「育成馬ブログ 生産編⑨(その2)」の続きとなります 合わせてご覧ください ●1歳馬のセールス・プレップについて(その3) ○飼料 先月に引き続き、ケンタッキーで行われている 1歳馬のセリに向けての準備(セールス・プレップ)について ご紹介します。 セリに上場される馬は、 ボディ・コンディション・スコア(BCS)の調整のため、 馬房内で個別に濃厚飼料が与えられます。 ダービーダンファームでは、 McCauley Bros.社製の「Option 14 Pelleted」という 大粒のペレットが1日2回与えられていました(図1)。 1回の量は太っている馬(BCSが6.0以上)で1.5kg、 痩せている馬(BCSが4.5以下)で2.0kgでした。 ケンタッキーでは放牧地に生えている牧草の栄養価が高いため、 太っている馬には放牧時に口篭が装着されていました。 反対に痩せている馬は、 他州からの入厩時などで一時的に散見されましたが、 夜間放牧されている内に自然とBCSが回復していきました。 ダービーダンファームは“Honesty(正直、誠実)”を スローガンにしており、 BCSが5.0前後の自然な馬体を目指していました。 そのほか、毛艶を良くするため米糠油や 各種サプリメントが与えられていました。 図1 1歳馬用の飼料 ○ウォーキングマシンの使い方と馬体洗浄 セリに上場される1歳馬の管理は、 一日おきにウォーキングマシンを 使った運動および馬体洗浄をする日と(図2)、 後述するグルーミングをする日に分かれていました。 ウォーキングマシンによる運動は、 常歩のストライドを伸ばしてセリの下見時に 活発な印象を与えることを目的として行われていました。 具体的には、常歩ではついて行けず半分程度は速歩に なってしまう程度の速度でウォーキングマシンを回して、 徐々に馬が体の使い方を覚えて大きく常歩で歩けるようになったら さらに速度を上げるということを繰り返していました。 理想を言えば人が引いて(ハンドウォークで)馬の常歩の速度を コントロールするのがベストでしょうが、 少ない人手で活発に歩ける馬を作るのには 有効な方法だと感じました。 ウォーキングマシンで運動した後は、 汗をかいた馬体をシャンプーで洗い、 その後ワックスをかけ毛艶を出していました。 後述するようにゴムブラシで馬体をしっかりマッサージして 血行を良くし、自然な毛艶を出すことが理想ですが、 米国ではそれに加えて飼料(米糠油)やワックスも使って 人工的にも馬を磨くというやり方が行われていました。 図2 ウォーキングマシンによる運動と馬体洗浄 (つづく)