育成馬ブログ 宮崎⑤

●育成馬検査の実施について

 

1月下旬には、強い寒気が日本付近に流れ込み、

日本海側のみならず関東も大雪による被害に見舞われました。

首都圏での大雪による交通機関の混乱の様子を見ると、

改めて自然の猛威の怖さというものを感じずにはいられませんでした。

 

九州では大雪の被害こそ少ないものの、

台風による被害には警戒が高まります。

昨年9月の台風18号では大分県を中心に被害が著しく、

土砂災害の影響で日豊本線の一部区間が不通となりました。

復旧には約3ヵ月もの期間を要し、

昨年12月18日にようやく全線開通となりました。

 

これに伴い、北九州から宮崎方面への特急の運転も再開され、

代替ルートを運行していた豪華観光寝台列車ななつ星」を

毎週水曜日の調教中に再び見ることができるようになりました。

宮崎神宮駅に近づくと鳴らされる大きな警笛を耳にすると、

被災地の復興への願いが込められているように感じずにはいられません。

 

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毎週水曜日の調教中に見ることができる「ななつ星」と育成馬

 

○育成馬の近況

 

宮崎育成牧場所属のJRA育成馬の近況をお伝えいたします。

最初にウォーミングアップとして500mトラック馬場で直線をキャンター、

コーナーを速歩という調教を左右3周ずつ実施しています。

 

その後は1,600mトラック馬場に場所を変えて、

一列縦隊で1,600mのステディキャンターを実施しています。

ハロン20秒程度のイーブンペースで走行し、基礎体力を付けるとともに、

馬群の中で落ち着いて走れることを目標に調教しています。

 

12月には深管骨瘤(第3中手骨の繋靭帯付着部における炎症)に起因する

跛行馬が散見されたとお伝えしましたが、

それらの馬も徐々に調教を再開しております。

 

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1,600m馬場において一列でのキャンターを実施する2群牝馬

 

 
YouTube: 【動画】育成馬日誌宮崎17-18⑤

1月下旬の1,600mダートコースでの調教動画

 

 

○育成馬検査

 

1月中旬には育成馬検査が実施されました。

育成馬検査とはJRA生産育成対策室の獣医職員が

日高および宮崎育成牧場で繋養している育成馬の

市場での購買時からの馬体の成長程度

および調教進度状況などをチェックする検査のことです。

今回の検査を基にして、

4月に開催されるブリーズアップセールの上場番号が決定されます。

 

検査は2日間かけて実施され、

初日は育成馬の展示を中心に馬体の確認が行われました。

この時期にしては天候に恵まれ、

緊張感漂う中、育成馬の展示が行われました。

検査と同時に、手入れやトリミングのみならず、

展示のハンドリングを含めた「ベストターンドアウト賞」の審査も行われ、

牡牝それぞれの最優秀馬が選ばれました。

 

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育成馬検査の展示の様子

 

翌日は小雨の降る中、各馬の調教進度状況の確認が行われました。

前述したとおり順調ではない馬もおりましたが、

今後の調教に関するアドバイス等をいただき、無事に検査が終了しました。

 

今回の検査を通して、

個々の馬の発育および調教進度状況を再認識することができました。

また、4月24日(火)に開催されるブリーズアップセール

およびこれに先立つ4月初旬の育成馬展示会のためのみならず、

馬主、調教師、牧場関係者などのお客様の来場に備えて、

馬を展示し、見ていただくという姿勢を再確認する機会にもなりました。

 

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育成馬検査における「ベストターンドアウト賞」の審査で最優秀馬に選ばれた

シーアクトレスの16(写真左 牡 父:アドマイヤムーン)と

マイネカプリースの16(写真右 牝 父:クロフネ