育成馬ブログ 日高⑦

日高育成牧場では、

JRAブリーズアップセールの上場馬名簿に掲載するための写真を

つい先日まで撮影していました。

皆さんは以下の馬体写真をどのように撮影しているかご存知でしょうか?

 

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実は、馬体撮影は、馬に適切な姿勢をとらせるための

ハンドリングテクニックが必要なことに加え、

日差しや風など天候の影響を受けるため、

想像以上の手間と時間をかけて行われているのです。

このため、1頭の馬に1時間近くかかることも珍しくありません。

そこで今回は、その撮影方法についてご紹介します。

 

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横見写真や駐立展示の基本となるのは、

「左表(ひだりおもて)」と呼ばれる馬体の左側面を見せる姿勢です。

この姿勢をつくる手順としては、

1.最初に人からのプレッシャーとその解除によって前進・後退を行い、

  人馬の間にある程度のスペースをつくります。

  最初から人馬の距離が近い状態で立たせると、

  写真を撮るタイミングで人が離れた際に、

  馬が人を頼って前に動いてしまいます。

 

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×人馬の距離が近い状態

 

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○人馬の間に適切なスペースがある状態

 

2.次に前進・後退によって、

  「軸」と呼ばれる左前肢と右後肢の距離を決定します。

  「軸」は長すぎず、短すぎず、

  馬体全体のバランスを勘案した適切な長さにします。

 

3.そして「軸」肢である左前肢と右後肢を動かさずに馬を前後させ、

  左後肢と右前肢の位置を決定します。

  この際、各馬の体型や肢勢に合わせて

  バランス良く駐立させることが重要です。

 

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4.右前肢と左後肢は、

  それぞれ「軸」肢である左前肢と右後肢よりも

  若干後方に位置させるように駐立させます。

 

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そのほかに写真撮影の時に気をつけていることは、

①平坦な場所、背景が落ち着く場所で撮影すること

②頚のラインを見やすくするため、タテガミは右に寝かせておくこと

③前傾姿勢にならないこと

④左右の耳が重ならず、いずれも前方に向いていること

⑤心臓に対して水平に馬体を撮影すること

などです。

 

下の写真は、後肢の間隔と位置は適切ですが、

左前肢と右後肢の間隔が広い、「軸」が長い立ち姿です。

 

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上の写真の姿勢から、数回前進・後退をさせた後の写真です。

今度は四肢の位置がバランス良く整いました。

 

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私たちは育成馬の写真を年に2回、

セリで購買した後の10月(パンフレット用)と

翌年の2月(上場馬名簿用)に撮影していますが、

その都度、各馬の成長を感じることができます。

4月9日に日高育成牧場で行われる展示会、

そして4月24日に中山競馬場で行われるブリーズアップセールでは、

それからさらに成長した育成馬たちをぜひご覧ください。