札幌競馬場の夏日記 第12話 「競走馬たちの病院」

みなさん「競走馬診療所」ってご存知ですか?札幌競馬場では7月上旬~10月上旬の約3ヶ月間、競走馬たちが札幌競馬に出走するために滞在しています。その間馬たちも人間と一緒で体のあちこちを痛めたり、体調を崩したりします。そんな馬たちを治療するところが競走馬診療所です。今回はそんな競走馬診療所にスポットをあてて、皆様にご紹介したいと思います。

20060927_02左の写真は実際に競走馬が治療を受けているところです。これはSSP(Silver Spike Point)という治療器具で低周波の電流をながして筋肉をマッサージし、筋肉痛を和らげる効果があります。人間でも同様の低周波マッサージ機がありますよね。約20分ほどこの低周波治療を行いますが、そのうち馬もなんだか気持ちよさそうな穏やかな顔をしてきて、レースや調教で疲れた体がしっかり癒されていくのがわかります。
写真をみていただいて分かるかと思いますが、治療を受ける馬たちは「枠場」と呼ばれる枠にすっぽりと体を収めています。これは治療中に馬が急に暴れだしたりすると大変危険だからなんです。一見狭くてかわいそうに見えるかも知れませんが、全ては馬とスタッフの安全のためなので少しの時間だけ馬には我慢をしてもらっています。
他にはマイクロレーダーやレーザー治療器で患部を温めたり、痛みをやわらげたりする治療や筋肉痛に対する針治療も行います。
また、治療だけでなく、レントゲンや内視鏡、超音波(エコー)による検査も行っています。治療や検査は診療所だけでなく、きゅう舎への往診という形でも行っていますので、この3ヶ月間はスタッフも大忙しです。でも馬たちにとっては体が資本ですから、診療所のスタッフ達も馬が万全の状態でレースに出走できるよう一生懸命診察をおこなっているんです。

札幌開催も残すところあと2日となりました。札幌開催が終わると馬たちは美浦栗東それぞれのトレーニングセンターに帰ります。そしてスタッフ達も両トレーニングセンター等、各々の持ち場へと帰ります。少し寂しくなる瞬間ですが、また来年の札幌開催には馬たち、それからスタッフ達が続々とやってきて、にぎやかな札幌競馬が始まることでしょう。それまでは札幌競馬場競走馬診療所も長いお休みです。

いよいよ札幌競馬最終週です!! 最終週の土曜日には北海道シリーズ締めくくりの重賞競走、札幌2歳ステークスがあります。今夏デビューした2歳馬たちが来年のクラシックを目指して奮闘する勇姿を是非ご期待ください。そして日曜日には毎年恒例の芝コース開放があります。競走馬たちの激闘が繰り広げられた芝コースを歩き、今年の札幌競馬で味わった感動を思い起こしてみてはいかがでしょうか?
今週末は札幌競馬場で!! 皆様のご来場、心からお待ち申し上げております。